2023/03/01 08:00

今更ですが
この本の短歌
面白かったです!

『えいしょ2022 -いますよ-』

(総合組版担当 のつちえこ Twitter:ちー@chii_edit

2022年10月に開催された文芸同人誌の即売会「文学フリマ福岡」で買った文芸同人誌になります。


文芸同人誌即売会に来た私の
読書の冒険心をくすぐるベストな本でした。
感想ついでに

好きな短歌を六首

紹介させてくださいませ!

短歌の読み方が知りたい人はこちらを参照ください→ 短歌のすすめ〜短歌に興味があるすべての人へおくる〜【図解付き】




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堂那灼風様

十五首連作「転環」より三首


銀河という瞳がこちらを見つめれば地球は見落とされる石ころ

ストーブで服を乾かし餅を焼くふるきダイソン・スフィアの予行

軽々に書き留めるたび思い出を置き去りにしてしまう気がする

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(感想)
一番好きな連作でした。

じつは私の趣味ではないのですが、新しい世界をみた気分です。
私の趣味とは、佐佐木幸綱先生の短歌のことです。
彼の特徴と言えば、本能、野性、直感、男っぽさ、生理感覚などと言われます。その中の一つに「肉体性」があります(身体性と言うと乾いた感じがする)。

幸綱先生と比べると「肉体性」は少ないと言えるでしょう。形而的な意味の言葉を使っており、読んでいると非日常へ連れて行かれるような心地です。でも生活感が無いわけではない。時折現れる生活の言葉が、私の心を揺さぶってくる!!!

読んでいて
イイ気分になったぜ!!!



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御殿山みなみ様

十三首連作「陰謀論」より三首


重箱の隅のてにをはそのままに人権のツイート燃えている

口じゅうの綿そのままに憲法を話せ話せと は はんたぃ

おそらくはお金で買える親指で押されるだろう核のボタンは

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(感想)
逆にこちらは
私の趣味に合う素敵な連作でした。

社会を描こうという志向を感じますし、会社勤務の様子やSNSなどの内容に生活の手触りを感じられて面白かったです。
とはいえ、当然幸綱先生とはやはり違う。そこが面白い。あえて言葉にすれば湿っている方と乾いている方の違いだと言えます。


この「湿り」「乾き」
作家が文章の話をする際によく使う言葉です。でも正直これで文章の性格を説明したことになるのかと考えると、うまく伝えられていないという気もいたします。
そこで私なりに二つの違いについて具体的な基準を申してみますと、それは一つに生理の言葉の有無があります。


たとえば
幸綱先生の文章からは尿や糞などの言葉が使われそうな予感がしますが、御殿山みなみ様からはその予感が小さい。
このように生理関連の言葉がありそうな文章は「湿り」無さそうな文章は「乾き」の性格がある、と判断するといいかもしれません(これは一つの考え方であり絶対ではないですよ)。



ずいぶん感想を長く書いてしまいましたが、面白い短歌があってイイ気分にさせてくれる、兎にも角にもそんな本でした。
皆様、おすすめですよ!



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